国際電話

    
 
 

 やっとホテルに帰って来きて、フロントに泣きつきました。
 Mが「シー ストール ハーパース」と説明しました。
 「ちがうよ、だったら、私が盗んだとこになっちゃうじゃん。
 受け身にしないと。シー ワズ ストールンだよ。」と、私。

 わけの分からない説明をする2人組に、フロントは
 「部屋から外線で電話しろ。900で使える。」とのこと。
 唯一の頼る先であるフロントにも見放され、
 さらに動転しました。

 でも、あとでMが言うには、
 「シー ワズ ストールンだったら、
  ヒロが盗まれちゃった。になるじゃん、
  ハーパース ワズ ストールンだよ。」
 あ、そうか。

 部屋に上がって、さっきの東京の保険屋に電話すると、
 今度は繋がりました。
 「現金とカードは保険対象ではない。財布だけ保障する。」
 そうですか。海外旅行保険って、
 現金は保障してくれないんですか。

 そして、VISAのアメリカ代理店の電話を教えてくれました。
 しかし、そこに電話すると、その電話は機械操作になっていて、
 指示通りの番号を押すと、途中で切れてしまいます。

 つか、英語なので、指示がよく解んないのです。
 何度やっても、途中で切れます。
 時間ばかりが過ぎ、「今ごろカードは使われているのでは?」
 と、あせるばかりです。
 やっぱ日本語じゃないと解んない。
 と、ギブアップし、自宅に頼る事にしました。
 しかし、自宅にも繋がらない。どうして?

 何十回もダイアルを押して解りましたが、
 フロントで教えてもらった900から外線、
 というのが、そもそも勘違いでした。
 9が外線で、00が国際電話です。日本は81。
 900-0081ではなく、9-0081でした。

 そのあとに市外局番042。
 これも違っていました。0は抜くのです。
 900-81-042 とかけていたのが、
 900-81-42でかけてみると、繋がりました!

 次女の声。もう、ほっとして泣きそうになり、私は叫びました。
 「お父さんを呼んで!お父さんを!」

 しかしながら、私の声は届いておらず、
 「もしもし???」ガチャン!と切られてしまいました。
 ばかやろ〜〜次女〜〜〜これは無言電話じゃないんだよ〜〜。

 ツーツーという音を空しく聞きながら、気付きました。
 夫Tは、東京の自宅にはいません。
 今は、神戸に住んでいるのでした。

      

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